2015年01月20日

【アンジュ・ヴィエルジュ】非公認SS「黒魔女の友人」

アンジュ・ヴィエルジュ』の非公認ショートストーリーですの。
非公認未認可の勝手二次創作なので、クレーム来たら削除になりますの。

では
「黒魔女の友人」

ソフィーナの章

理深き黒魔女。天才。優等生。私の二つ名は多数ある。
そんな私に、最近、友人ができた。
青の世界出身。おっちょこちょいでお節介で能天気。
その子の名前は美海。
そんな彼女が私のどこを気に入ったのか、恐れもせずに声をかけてくる。
「ねえねえソフィーナちゃん、ここわかんない!」
明後日から試験だというのに、範囲の中間からわからないなんて……
だから、私は毅然とした態度で美海に接する。
「放課後、2時間みっちり教えるからね!」
「えーっ」
心底嫌そうな声で、でも顔は笑っている。

美海の章

ああ、もうこんな時間!
ソフィーナちゃんに教えて貰ってて、気づいたら3時間!
2時間って言ったのにー!
でも、ソフィーナちゃんに教えてもらうとわかりやすいんだよね。
たまちゃんだと、この式をぎゅーってやってどんみたいな教え方だから、ちんぷんかんぷん。
ふわぁー。
今日は早めに寝ないと。
遅刻しそうになったからって、エクシード学外で使っちゃったら、最低でも停学、下手したら退学だもん。
「校外でのエクシード使用は、住民に不要な不安を引き起こし、ひいては学園の存続にも関わる重大事項である」
って教頭先生も言ってたもん。
一緒に卒業しようねって、ソフィーナちゃんに約束したんだから、そんなことで停学にでもなったら大変!
わわ、なになに?何が起こったの?
「ただいま、地震のため列車を緊急停止しております。再開までお待ちください」
えー!早く帰りたいときに地震で止まるなんて……ついてないなぁ……

決断の章

美海の乗った電車はもう見えない。
3時間に及ぶ苦闘の末、やっと赤点を取らないレベルまで教えることができた高揚感が冷めるまで、この涼しい風を楽しんだ。
ダークネス・エンブレイスの魔女王様直命で青蘭学園に来ている私は住居も優遇されている。
学園から歩いて3分の高級マンション。
駅からでも5分もかからないそこに帰って、昨日のうちに煮込んでおいたシチューを暖めて夕食にしよう。
……!
地震だ!
足元が大きく揺れるけど、理深き黒魔女が無様に転ぶわけにはいかない。
騒動の中、涼しい顔を作って必死に転ばないようにバランスを取った。
美海は大丈夫?
振り返って駅を見る。
そこで、見てはいけないものを見てしまった。
今の地震で地盤が緩んだのか、駅の裏の山が崩れかけている。
このままだと崩れ落ちる!
止めなきゃ!
でも……
学外でエクシードを使ったら、最低でも停学、最悪なら退学。
人命救助のためという大義名分があっても試験は受けられなくなる。
落第したら、魔女王様に申し訳が立たないし、なにより……美海と一緒に卒業できなくなるかも知れない……
たとえ私が何もしなかったとしても、誰も私を責めることはないだろう。
でも。
もし、美海がここにいたら?
彼女だったらどうした?
あ。
崩れた……
駅に居る人たちも気づいてパニックになってる……
素早く計算する。
あの崩れ方をどうすれば止められるのか、被害をゼロにするためには何を唱えればいいのか。
美海、ごめんね!
心の中で唱えてから、詠唱した。
「流星群!」
誰の目にもエクシーズと明らかなそれは、狙いたがわず崩れ落ちた土砂を全て粉砕した。

処分の章

「失礼します」
翌日の放課後、教頭室の扉を二度ノックし、返事を待ってから部屋に入った。
環先生と教頭先生。
「呼ばれた理由はわかっているな?」
「はい。承知しています」
「ソフィーナ君、君は再三禁止されているにも関わらず、学外でエクシードを発動した。それも大規模エクシードの流星群を、だ。間違いないかね?」
「はい、相違ありません」
「しかし、教頭」
「私はソフィーナ君と話している」
環先生の言葉を遮った教頭先生が更に言葉を重ねる。
環先生、ありがとう、でももう覚悟はできている。
どのような理由があろうと、ルールはルールだ。
理深き黒魔女の名にかけて、その罪は購わなければならない。
「最近、君についてはよくない噂も出ている。とてもダークネス・エンブレイスの天才とは思えない言動が目立つと」
「はい」
「中には交友関係が悪いのではないかという者もいる」
予想外の言葉に、反応してしまった。
私のことをどう言っても構わない。そんなものをいちいち気にしたりはいない。だからといって友達を悪く言うのは……と反論しかけて、思いとどまった。
教頭先生の目に優しさが見えたから。
「だがね、そんな交友関係から、こんなものが届けられている」
教頭先生が私に投げて寄越したそれには”嘆願書”と書かれていた。
「全校生徒の3分の2。それが君への処分の嘆願に署名した数だ。名前は明かすなと言われているので明かせないが、これを昼過ぎに私に持ってきた生徒がいてね。たった半日でこれだけの署名を集めてね」
そう言ってテレビのリモコンのスイッチを入れた。
『こちらが現場の駅です。ごらんのとおり、まったくの無傷です。ここで視聴者提供の、崩れたときの映像をもう一度ご覧ください。凄い勢いで落ちている土砂!危ない!ここで、ほらあの光ですね。流星群というらしいですが、完全に土砂を止めています。数百人の命を、たった一人の少女が救ったのです!』
もう一度リモコンを操作してテレビを止める。
「そもそも学外でのエクシーズ使用は、住民に不要な不安を引き起こし、ひいては学園の存続にも関わる重大事項ゆえ禁止されている。だが今回の件では住民に不要な不安を引き起こしておらず、むしろ賞賛されているのだよ。……君への処分だが、多数の人命を救助したこと、多数の嘆願があったことから、今回は不問とする。退出してよろしい」
ありがとうございます、の一言は言えなかった。
言ったら酷い声になるのがわかっていたから。
だから、深く一礼だけして部屋を出た。
「良い学友を持ったな」
閉めた扉の向こうから、教頭先生の声が聞こえた。

エピローグ

曇った視界でも、廊下を走り去っていく後姿が見えた。
きっと教頭室の前で立ち聞きしていたのだろう。
深呼吸。
精神統一。
ハンカチを目元に当てる。
うん、もう大丈夫。
ほら、何気ない顔してこっちに歩いてきた。
「ソフィーナちゃん、どうだった?」
「私を誰だと思ってるの?もちろん、お咎めなしに決まってるでしょ!」
「よかった!」
その笑顔が眩しすぎたから、頑張って真面目な顔を作って。
「だからってあなたは学外でエクシード使っちゃ駄目よ?」
「わかってるってばー」

理深き黒魔女。天才。優等生。私の二つ名は多数ある。
そんな私に、最近、友人、ううん、大好きな親友ができた。
青の世界出身。おっちょこちょいでお節介で能天気。
その子の名前は……
posted by バー at 18:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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